田辺聖子「ジョゼと虎と魚たち」

  • 映画の原作。同名の短編集に収録されている。
  • 映画はオサレでしっとりしたトーンができていたが、こちらはもう少し暖かく、コミカルだ。恒夫も関西弁を喋るし、関西特有の冗談も飛ぶ。ジョゼは本だけではなくテレビやラジオからも情報を摂ってて、歌手の真似なんかもして、それほど世間ズレしてそうなイメージがない。映画のほうも嫌いじゃないんだけど、なんか映画にした人の過剰な美意識を感じたのはそういうところか。脚色としては正解なんだけど。原作が「小説」ならば、映画は「おとぎ話」だった気がする。正直、小説のほうが好きだ。