キリンジ『3』

 とても内容の濃ゆいアルバム。ベスト版級の出来。孤高の名曲「エイリアンズ」「アルカディア」を筆頭に、さわやかな「イカロスの末裔」、3月の春風のような「君の胸に抱かれたい」、もう一人のサンタクロース*1の哀愁漂う物語「千年紀末に降る雪は」など、もう、これでもか、これでもかって曲が勢ぞろい。油でテカってる二人の顔写真のジャケットも最高。キリンジ特有の個性的な優しさ、可愛げのあるスノッブ、不器用のフィルターだけを通ってふと顕れるストレートな感情。キリンジの曲は後にも珠玉の名品が続くが、やはり飲み会の後、屋台で食べるとんこつラーメンのようなこのアルバムを忘れたくはない。

*1:松任谷由美「恋人はサンタクロース」参照