2004-06-07から1日間の記事一覧

沢木耕太郎『テロルの決算』(新潮文庫)

1960年、日比谷公会堂で一人の政治家が刺殺された。当時の社会党委員長・浅沼稲次郎に刃を向けたのは、17歳の右翼少年・山口二矢(おとや)。浅沼はなぜ殺されたのか。山口はなぜ殺したのか。なぜ殺せたのか。二人の生涯を当時の政情を交えて掘り起こす沢木…

滝田ゆう『寺島町奇譚』(ちくま文庫)

滝田ゆうは5歳まで、現在の東京都墨田区向島で育った。東京大空襲で街が焼けたのを機に、そこへは戻っていない。この作品は、その頃の記憶で滝田が描いた寺島町の思い出である。 当時の向島といえば、いわゆる花街であり、バーや銘酒屋が軒を連ねていた。入…