大塚製薬「オロナミンC」

  • 上戸彩SHINJO
  • 「聞きたいことがある」と歌い旅をする上戸彩SHINJO邸ベランダにたどり着いて「元気ハツラツぅ?」、それに応えて「オフコース!」と力強く叫ぶHINJO。♪オロナミンC〜
  • 独善的に突っ走ってきた「元気ハツラツ!」から、YO,BUDDY!みたいな「元気ハツラツぅ?」となり、今回はその疑問系を最大限に活かして「聞きたいことがある」と前置いた。
  • 二人のキャラがうまく活かされてると思う。とくにSHINJOの「オフコース!」は、今まで見たオロナミンCのどのCMよりもハツラツだった。あの「オフコース!」はSHINJOにしか言えまい。それを活かすよう、珍しく淡々としている上戸彩。淡々としててもグッとくるってことは、やっぱり可愛いんだな。
  • 最近のオロナミンCのCMの中で、いちばんよくできてると思う。

ホテルビーナス …の評を見て。

  • ポータルの映画評サイトでは好評と酷評が半々、はてな内では酷評が多いようです。酷評の要点は次の通り。なーるほどねー。
  • どれも間違った指摘ではない。セリフを反復していると、それらが消費に耐えられない言葉であることに気がつく。15秒30秒だから成立するCM向けの言葉、というのか。「そういえばそうだね」と、その場の雰囲気には刺さる言葉。
  • なお、好評の多くは「自分に重ねられた」と「出演者の演技がよかった」の二つ。後者は更にSMAP誉め、香川照之中谷美紀市村正親誉め、韓国俳優誉めの3派に分かれている。自分に重ねた人は、人生や生きることについて考えた人でもあったみたいだ。
  • 僕がこの映画で間違いなく評価すべきだと思ったのは、まず設定のアイデア。異国感をあらわすにはロシアで韓国語を話す日本人ぽい人々というのは正解だった。あと、ゲスト出演者2名が明らかに浮いていたのを除き、演技は概ねよかったと思う。
  • 全体的には、大味なサッカーと喩えるのが適切だろうか。得点が簡単に入って6−3のような試合。
  • やっぱ広告って安全な価値観を疑いなく信じられる人にこそ作れるものなんでしょーか。疑いたくなる。ついでに、僕が広告を好きと言うとき、僕は広告のモードになる、つまり人に価値観を寄せきってしまうことに気がつきました。


ちなみに僕が今まで見た映画の中で一番よかったと思っているのは、「ハッシュ!」です。べつにゲイじゃないですが。そういえば、「ムトゥ」の開き直りも好きでした。

田辺聖子「ジョゼと虎と魚たち」

  • 映画の原作。同名の短編集に収録されている。
  • 映画はオサレでしっとりしたトーンができていたが、こちらはもう少し暖かく、コミカルだ。恒夫も関西弁を喋るし、関西特有の冗談も飛ぶ。ジョゼは本だけではなくテレビやラジオからも情報を摂ってて、歌手の真似なんかもして、それほど世間ズレしてそうなイメージがない。映画のほうも嫌いじゃないんだけど、なんか映画にした人の過剰な美意識を感じたのはそういうところか。脚色としては正解なんだけど。原作が「小説」ならば、映画は「おとぎ話」だった気がする。正直、小説のほうが好きだ。

ホテルビーナス

  • 「ビーナスの背中を見せてくれ。」北の町にあるビーナスカフェに、新しい客が来た。その奥では、それぞれに事情を抱える人々がひそやかに暮らしていた。
  • いまノリに乗ってる広告クリエイター、麻生哲朗の脚本と聞いて、見てみた。麻生哲朗にはフランス語で詩を書いたCMもあるが、今回の映画の科白はほぼ全部韓国語。新鮮な異国情緒が出ていた。葛西薫のトーンは北アジア的。それに対して麻生哲朗のそれはヨーロッパ的。(ただしロケ地はウラジオストック。)
  • LOVE PSYCHEDELICOの曲をモチーフに、ところどころ音を消したり、素早くイメージを挿入したり。歯切れのよい構成が、映像の洗練されたテンションを上げている。全編サビに聞こえる近年のポップスのようで、ぜんぜん飽きさせないのはさすが。(そう言えば麻生さんはCHEMISTRYの作詞もしてたな。)伏線もきれいに埋まっていて、スマート。ところどころの言葉もきれいに決まっている。
  • チケットを買うと、ハンカチを渡される。「あなたは、どの部屋で泣きますか?」というキャッチコピーからも、そうとう泣かせる自信があるんだろうよ。イヤミだなあ、とか思っていた。すみません、今まで見た映画の中で一番泣いたかもしれません。上映後も鼻をすする音がところどころに。
  • なんか自分に重ねやすいんですよ、それぞれの「事情」や気持ちの揺れ方が。冷静になるとくやしいですね、まったく。素敵な映画だったけれど、ため息が出ます。

隣の隣にいた女の子なんかはケロッとしてたけど、どうだったんだろう。僕は、回りの人が泣きまくっていた『グリーンマイル』に興ざめし、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』では涙ではなくアドレナリンを流すようなやつだ。やはり、人のグッと来るツボってそれぞれに違うんだろか。